分析事例

2023年07月26日

代替肉に関する調査

近年、スーパーなどでも代替肉製品を手軽に購入できるようになりました。健康意識の高まりや環境問題を背景に利用する人が増えているようです。当社では「代替肉に関するアンケート調査(第2回)」を実施し、代替肉の喫食意向の理由4,781件の自由回答データを元に、弊社テキストマイニングツール「TextVoice」で分析したので、その結果をご紹介します。

調査概要

調査対象: 当社のアンケートモニター
調査方法: インターネット調査(ネットリサーチ)
調査時期: 2022年12月01日~12月05日
回答数: 9,829名  ※その内、喫食意向の理由(自由回答)は4,781件
調査テーマ: 代替肉に関するアンケート調査(第2回)
自由記述設問: あなたが今後、代替肉を食べたいと思う・食べたいと思わない・どちらともいえないとお答えの理由について、具体的にお聞かせください。

●アンケートの結果

代替肉の調査から喫食の経験と意向は以下のような構造になっていることが明らかになりました。

アンケートの結果

喫食経験ある方は約4割で、経験ない人は約6割でした。
喫食経験ある方の中で、約半数は今後の喫食意向がないようなので、今後市場が拡大していくには課題がありそうです。

それでは、喫食意向のある人がどんな点を評価しているのか、喫食意向のない人は何が阻害要因になっているのかを明らかにしトライアルやリピートのヒントを探ってみます。

●テキストマイニングの結果

【出現頻度が高いワード(類義語)】

最初に全体の傾向をワードクラウド機能から分析します。
今回は「喫食意向あり」と「喫食意向なし」でそれぞれ分析しています。

喫食意向あり層に多いワード

健康、良い、食べる、美味しい といったワードが上位にきています。
・健康に良い、身体に良いという健康面の評価
・食べると美味しいという味の評価
が意向につながっているようです。

喫食意向あり層に多いワード

喫食意向なし層に多いワード

美味しくない、(肉を)食べたい、(肉を)感じないといったワードが上位にきています。
・美味しくない、(肉)を感じない という味の評価
・(肉を)食べたい という肉の代替にはならない評価
が意向の低さにつながっているようです。

喫食意向なし層に多いワード

【関連性の強いワードの組合せ】

次に、最大6つのワードのつながりからおおよその内容を把握できるサマライズ機能を使って、どのような意見が多いのか見ていきます。

※最大6ワードの組合せでランキングします
※単語だけでは見えにくい発言の背景や理由などを見たいときに有効な分析です

喫食意向あり層に多い意見

健康、嗜好、味などに関する意見が多いようです。
・身体に良い
・大豆が好きで肉が好きではない
・食感や風味が本物の肉と変わらない

喫食意向あり層に多い意見

次に、喫食意向あり層の意見について、直近1年での喫食経験あり/なし別に分析してみました。
こちらは、セグメント機能を使って分析しています。

※最大6ワードの組合せで分類し、その属性に特徴的な意見を抽出
※発言の量ではなく他の属性ではあまり言われない特徴的な意見を見つけるのに有効

喫食意向あり層の意見を喫食経験あり/なしで分析

直近1年で喫食経験ありの特徴

直近1年間に喫食した人の意向では、
・意外と美味しいから
・風味がよく、保存性が高く、手軽に使える
など味の評価が高く、保存ができるという肉とは異なるメリットを感じているようです。

直近1年で喫食経験ありの特徴

喫食経験なしの特徴

喫食経験がない人の意向では、
・どれほどなのか興味がある
・栄養があると聞いて
など試してみたい気持ちがでています。

喫食経験なしの特徴

喫食意向なし層も同様の分析をしました。

喫食意向なし層に多い意見

味の不満、肉の代わりにはならないという意見が多いようです。
・以前食べたが美味しくない
・普通の肉を食べたい
・本物(の肉)を食べたい

喫食意向なし層に多い意見

喫食意向なし層の意見を喫食経験あり/なしで分析

直近1年で喫食経験ありの特徴

直近1年間で食べた人は、
・以前食べたが美味しくない、肉を感じない
・食感や味が肉と違うので好みでない
などトライアルしたものの味の評価の低さが理由になっています

直近1年で喫食経験ありの特徴

喫食経験なしの特徴

食べたことがない人は、
・食べる理由がわからない
・なんとなく抵抗がある、気持ち悪い
など関心の低さ、イメージの悪さが理由になっています

喫食経験なしの特徴

まとめ

代替肉の喫食経験者は、意外に美味しいという発見から半数くらいは継続で利用したいと思っているようです。
健康で身体に良いという点も意向につながっています。ただし、残りの半数は味が不満で意向が低いため、トライアルした人が継続して購入してくれるようになるには、まだまだ改良は必要そうです。

肉の代わりにはならないという意見もあるので、肉としての完成度を高めるだけではなく、植物性素材そのものの良さや味わいを生かすようなコンセプトも考えられるかと思います。

喫食未経験者は、代替肉に対して関心の低さやマイナスイメージをもっておりトライアルにつながっていないようです。
未経験は6割以上のため、イメージ改善によりトライアル機会を増やす施策が必要そうです。

代替肉の普及には、イメージの向上でトライアルを増やしつつ、味やコンセプトの改善で、リピート率を高める両輪の施策が必要かと思われます。